気がつけば俺も45歳で人生の折り返し地点を過ぎた。妻と出会ってもうすぐ15年になる。人生は長いようで短い。贅沢を玩味するにも体力がいるし、甘美を嘗めるのにも気力がいる。身の回りのモノを減らしつつ、ガラクタを10個減らしたら、1つの本物で埋めたい。
ぼんやりとそんなことを考えていたら、少し前に妻が「いつかエルメスのスカーフが欲しい」と言っていたのを思い出した。「いつか」はいつまでたっても「いつか」のまま、というのは、40歳を過ぎたあたりで発見した真理なので、発作的に博多阪急のエルメスに行ってきた。
そして発作的に、エルメスのスカーフ【カレ 90】を買った。すべて俺の発作。人生で1枚目のエルメスのスカーフということで、かなりの枚数を出してもらい吟味していたが、ときめくデザインのものがあったようで、無事に決まった。ちょうど少し肌寒かったので、スカーフはその場で首に巻いて、何も入っていないエルメスの箱を袋に入れてもらった。
俺も妻も、少しふわふわした心持ちで帰宅。妻は今、隣の部屋でいろいろな巻き方を試して楽しんでいる。俺は袋を眺めたり、同梱されていたスカーフの巻き方を説明してある【KNOTTING CARDS】を眺めたり。
妻が決めたデザインは、【万国博覧会】の白/オレンジ/シエル。細かく楽しいデザインで、子供もわいわい騒ぎながらあれこれ見つけていた。
ヤン・バイトリクが驚きに満ちた万国博覧会に招待してくれました。この色とりどりの会場の見取り図には、支離滅裂にみえるユーモアと歴史上のさまざまな出来事に対する独特の視点がうかがえます。ガラスのドームのなかで恐竜たちがじゃれ合っているかと思えば、水中ではペンギンたちがダンスを披露しています。バベルの塔はすべり台に変貌し、その隣ではトロイの木馬がスパリゾートに改装され、四機のドローンが逆さまになった大ピラミッドを宙づりに……。イラストレーターであるバイトリクは19世紀の「大縁日」に着想を得て、空想上のテーマパークを創り出してみせました。そこでは巨大なものたちに紛れるようにして、時に実用的であったかと思えば、時に詩的、時にはとんでもなく奇抜な形であらゆる革新(イノベーション)が表現されています。
(エルメス公式ウェブサイトより)