5年前に発売された第1弾『LIFE SHIFT』は読んでないのだが、書店で平積みされて売れまくっていたのは、覚えている。その続編というか最新版の『LIFE SHIFT2 100年時代の行動戦略』が発売されたので、読んでみた。
今までは、大学まで出るなら22歳までの「学習」ステージ、それから65歳で定年する前の43年間を1つの企業で勤め上げる「勤労」ステージ、退職から死ぬ前の「余生」ステージと、人生がはっきりとした3ステージ制だったが、寿命がどんどん伸びてきて、ライフプランを100年のスパンで立てないといけなくなりつつなる中で、我々はどうすべきか、企業・教育・政府はどうあるべきか、について論じられている。
ライフプランを、直線的なものから、学習・勤労・余生を行ったり来たりするマルチルートなものに転換していかなければならない、大切なのは「物語・探索・関係」である、といった主張がすっきりと整理されており、ワクワクしながら読み始めたのだが、読み進めるにつれてどんどん退屈になっていった。なんというか、「それができれば誰も苦労しねえわ」的な。
データや研究事例は豊富に盛り込まれているので、押さえておきたい数字などはいくつか見つかる。
結婚しないことを選択する人も増えている。1970年代の日本では、未婚の人はきわめて珍しい存在だった。当時、50歳を超す男性のうち、未婚の人の割合は50人に1人すぎなかった。それがいまは4人に1人に達している。この割合は、女性も33人に1人から7人に1人に増加している。
(170ページ)
日本では、1953年生まれの女性のうちで子供がいない人の割合は10人に1人だが、1970年生まれの女性の場合は、4人に1人が子供をもっていない。
(173ページ)
ここらへんの具体的な数字は、なかなか実感として把握するのが難しい少子化について、説得力を持って迫ってくる。生まれる子供が少ないなかで、今生きてる我々がだらだらと100歳まで生きたら、どのようないびつな人口構成になるかは明白だし、社会保障の財源を考えると、2000万円足りねえから、自分らでどうにかせえと政府が脅してくるのにも、それなりの理由があるのもわかる。ゾッとする。
ただ、帯にあるような「この変わり続ける世界で、どう生きるか?」についての解答としては漠としているし、「日本人の不安に応える」かというと、教科書的すぎて、具体的な行動に繋がりにくい内容。
なぜ先進国では少子化が進むのかについては、以下の一文にハッとさせられた。
経済学者のシェリー・ランドバーグとロバート・ポラックが指摘するように、「親にとって子作りの狭い意味での経済的メリットが弱まるにつれて、子供は投資商品というより、高価な耐久消費財のような性格が強まっている」。
(173・174ページ)
本書、事例や架空の物語の舞台として日本が頻出するのだが、俺の知ってる日本とちょいちょい異なる日本が描かれている。
2014年、ソフトバンクは東京の店舗に、子供のような人型ロボットを配置し始めた。いま日本の銀行や企業のオフィスでは、ペッパーが来訪者を出迎えて簡単な案内をしている。ペッパーを導入した企業は、人件費を削減できたはか、社員の用事が減り、顧客とじっくり話せるようになったという。
(20ページ)
俺の知ってる日本では、ペッパー君はどんどん撤去されているのだが。
アンドリューによる日本語版への序文
リンダによる日本語版への序文
はじめに
- フランケンシュタイン症候群
- 社会的開拓者になる覚悟をもつ
- どこにでもいる誰か
- 本書の内容
第1部 人間の問題
第1章 私たちの進歩
- テクノロジーの驚異的な進化
- 長寿時代の到来
- 人間だけが人間の問題を解決できる
第2章 私たちの開花
- 人生のあり方を設計し直す
第2部 人間の発明
第3章 物語 - 自分の人生のストーリーを紡ぐ
- 年齢に対する考え方を変える
- 時間に対する考え方を変える
- 仕事に対する考え方を変える
- 流動性の高いキャリア
- 「よい人生」とは?
- あなたの人生のストーリー
第4章 探索 - 学習と移行に取り組む
- 探索と発見
- 生涯にわたって学び続ける
- 移行を成功させる方法を学ぶ
- 新しいタイプの移行
- あなたの探索の取り組み
第5章 関係 - 深い結びつきをつくり出す
- 家族
- 支え合いの関係
- 世代
- コミュニティ
- あなたの人間関係づくり
第3部 人間の社会
第6章 企業の課題
- マルチステージの生き方を可能にする
- 幸せで健全な家庭生活を支援する
- 学びを支援する
- 年齢差別をなくす
- なぜ、企業が変わるべきなのか?
第7章 教育機関の課題
- 大人の学習が不可欠になる
- 新しい教育のあり方
第8章 政府の課題
- 悪い結果を避ける
- 好ましい結果を促進する
- 包摂に向けた課題
おわりに