本記事タイトルの「ニュースを何も知らない人は、ニュースしか知らない人より教養が高い」は、トーマス・ジェファーソンの「何も読まない者は、新聞しか読まない者よりも教養が高い」より。「新聞」を「テレビ」に置き換えてもいいし、もちろん「ネット」でも可。
ここ数年の間に読んだ本の中で、最も俺の日常生活に影響を及ぼした一冊。特に、2020年初頭から始まりまだ続いている、新型コロナウイルスに関するニュース媒体の乱痴気騒ぎを見るにつけ、本書は心の健康を取り戻すための特効薬だと思う。

あなたがこの一年でむさぼり読んだニュースは、およそ二万本にのぼるだろう。控えめに見積もっても、一日あたり約60本は読んだことになる。
正直に答えてほしい。そのなかに、あなたが自分の人生や家族や、キャリアや健康やビジネスに関して、よりよい決断をくだすのに役立ったニュースはあっただろうか。
(64ページ)
あなたの人生における重要なこととニュースには、なんの関連もない。
(65ページ)
テレビやスマホ、果ては新幹線車内の電光掲示板まで、自分にとって重要でなはない「ニュース」が、隙あらばさも重要な顔をして襲いかかってくるが、それらの全てを知らなくても生きていけるし、追いかける価値もない。むしろ有害ですらあるので、テレビを消して新聞の日刊紙を捨てて、スマホのニュースアプリのプッシュ通知を殺して、じっくり本を読もう。知りたいことや興味があることは、能動的にメディアやネットを利用して自分から取りにいこう。という内容。
例えば俺のGmailアカウントには、日本経済新聞の【速報メール】が1日に何度か届くのだが、未読のままアーカイブするようになって久しい。これは、本書を読んだからではなく、1日にあまりにも何度も届くようになったので、面倒になってしまったのだ。例えば……
2021年5月20日21時ごろに届いたのが以下のニュース。
新型コロナ: 米英2社のワクチン承認へ、厚労省部会が了承: 日本経済新聞
米モデルナ製と英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの製造販売が21日にも承認されることが固まった。
で、約14時間後の2021年5月21日10時に届いたのがこれ。
新型コロナ: 承認予定のアストラゼネカ製ワクチン 接種は当面見送り: 日本経済新聞
厚生労働省は、近く正式に製造販売を承認する英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンについて、当面は接種を見送る方針だ。
このニュースを見て我々市民がどうせいっちゅうんじゃ。アストラゼネカ製が承認されようが、承認されたけど当面接種を見送ることになろうが、どの道、順番がこなければワクチン接種はできないし、どうせどのワクチンにしてもらうかも選べやしないだろうし、さらに言えば「好きなの選べ」と言われても困るし。
この手の本質的にはどうでもいいニュースが満載なのが、無理矢理にでもニュースでを満載して毎日発光しなければならない新聞だったり、決められた時間の枠を埋めないといけないテレビのバラエティニュース番組だったりなわけで。
あと、新型コロナウイルスワクチンの承認についても、新垣結衣と星野源の結婚も、イスラエルとハマスの停戦も全て等しく、俺にとっては価値のないニュースなので、もっと健康や家族や仕事のこと、地域の安全や、来年建築予定の自宅の間取りのことなど、自分にとって重要なことにエネルギーを向けましょう、という話。
著者の他の作品も、読んでみようと思う。

Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法
- 作者:ロルフ・ドベリ
- 発売日: 2019/04/01
- メディア: ペーパーバック

Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法
- 作者:ロルフ・ドベリ
- 発売日: 2020/01/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)

Think right 誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法
- 作者:ロルフ・ドベリ
- 発売日: 2020/06/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)